「ちゃんと考える」方法について

TOCfE Advent Calendar 2015 1日目
※アドベントカレンダーについては本記事末尾をご参照ください


「ちゃんと考えて!」

「しっかり考えなさい!」
子どもたちに、こんなことを言ったことはありませんか?

これ、子どもからすると、けっこう困る話です。
いえ、むしろ大人でも「ちゃんと考えて」と言われると困ることがあると思います。

だって、「『ちゃんと』考える」ってそもそもどうやればいいのか、わからない。

今日は、その「『ちゃんと』考える」を実現するツールを一つご紹介いたします。

■ロジック・ブランチ

私が数学や社会で何かを説明するときにちょくちょく描いているので、見たことがある生徒もいると思います。
例えば、次のようなもの。

証明問題_ブランチ

 

これは、もともとは下の証明問題を図示したものです。
上の図を仮に「ロジック・ブランチ」と呼びましょう。

証明問題_問題文
※「∠BAD」は「角BAD」と読みます
※「⊿ABD」は「三角形ABD」と読みます
※「≡」は「合同」を表す記号です(「合同」とは「同じ形で同じ大きさ」であることを意味します)

「ロジック・ブランチ」の箱と箱とのつながりは次のように読みます。
「もし、~ならば、結果として~である」
たとえば、例で挙げた「ロジック・ブランチ」の上2つの箱をとりあげると、次のように読むことになります。
「もし、『2組の辺とその間の各がそれぞれ等しい』ならば、結果として『三角形ABPと三角形DCAは合同』である」

「ロジック・ブランチ」で論理の道筋を確認できると、この問題の解答は最終的に次のようになります。

証明問題_解答

この問題はそれほど複雑な証明ではありませんでしたが、それでも最初に「ロジック・ブランチ」を使って、「論理の筋道」を確認しておくと、理解しやすくなります。

では、「論理」とはなんでしょう?
そのうちの一つは「因果関係」のことです。
(「因果関係」以外にもありますが、話が複雑になるので、ここでは「因果関係」だけをとりあげます)

「因果関係」とは「『原因』と『結果』の関係」ですね。
すなわち、「もし、Aならば、結果としてBである」という文章のうち、「A」にあたるのが原因で「B」にあたるのが結果です。
先の「三角形の合同」の例も、「証明」では因果関係を明らかにしているのがわかります。

「証明」問題を解くことは、「ちゃんと考え」ないとできません。
ということは、「因果関係を明らかにする」ことができれば「ちゃんと考える」ができたといえるのではないでしょうか。

■生徒の例

ここで実際に生徒が作った例を見てみましょう。

次の「ロジック・ブランチ」は高校生が生物を自習していたときに作ったもので、「血糖値が高くなったときに、血糖値を下げるメカニズム」を表したものです。

高血糖

教科書や参考書を、(多少、正確ではない箇所もあるのですが)その生徒なりに読み解いて「ロジック・ブランチ」に描き表しています。
ここで注目して欲しいのは一番下の箱から伸びた2つの矢印です。

「もし、『血糖値が高い』ならば」の箱から始まって、「結果として『すい臓のランゲルハンス島のB細胞がインスリンを分泌する』」の箱まで2つのルートをたどっていることがわかります。

メカニズムとしては最終的に「血糖値が下がる」に行き着くのですが、なぜここで2つのルートがあるのか、この生徒は疑問を持ちました。
その疑問を私に質問してくれたのですが、私は生物の専門ではないので、答えることができません。

その生徒と私と二人で議論した結果、
「血糖値が高い状態は生物にとって危険な状態である。その状態を解消するためのメカニズムが1つのルートしかない場合、そのルートが機能しなかったら大変なことになる。リスクヘッジのためルートは複数用意されているのでは?」
という仮説を立てました。
同時に、
「血糖値が高い状態においてだけでなく、血糖値が低い状態も危険な状態である。ならば、血糖値が低い状態を回避するメカニズムの中にも、ルートが複数用意されているのでは?」
という仮説も生まれました。

翌日、高校の生物の先生に質問したところ、その仮説は両方とも正しいと先生から説明してもらったそうです。

この生徒がやったことをまとめます。

  1. 論理的に考える(教科書を「ロジック・ブランチ」に落としこむ)
  2. 論理に疑問を持つ(「ロジック・ブランチ」から不思議を感じ取る)
  3. 仮説をたてる(「ロジック・ブランチ」をもとにいろいろ想像する)
  4. 仮説を検証する(専門家=学校の先生に確認する)

おお!これって、まさに「ちゃんと考える」ではないですか!?

この生徒はもともと生物が苦手で、定期テストではいつも30~50点だったそうです。
私がこの生徒に教えたのは「ロジック・ブランチの作り方」だけ。
その後、この生徒はコツコツ自分で各範囲の内容を「ロジック・ブランチ」に描き表していったところ、その学期の定期テストで、平均点30点台のところ72点をとってきました。

暗記がどうしても苦手で、勉強が不器用な生徒が「ちゃんと考える」を積み重ねるとこんな結果も生み出せる!

 

■その他のツールについて:TOCfEの紹介

今回、ご紹介したツール「ロジック・ブランチ」は「TOC for Education(以下、TOCfE)」という思考ツールの中の1つです。
「TOCfE」には3つのツールがあり、それぞれ次のようなものです。

  • ロジック・ブランチ(ものごとのつながりを考える)
  • クラウド(意見の対立について考える)
  • アンビシャス・ターゲット・ツリー(目標を達成する方法を考える)

(TOCfEとは ⇒http://tocforeducation.org/about/ より)

今回はこのうちの一つを紹介しました。

私のほうで、普段、授業で生徒に使い方を教えています。
(また、何かを説明するときにもこれらのツールを使っています)

TOCfEは、大人でも使えます。
「教育のための」と銘打たれていますが、実際には企業で使われることも多いです。
(私の友人にも、このツールを業務改善やコンサルティングに活用している人が何人もいます。)

もし、学びたい人がいれば、塾生であれば私に聞いてください。

大人であれば、以下をご参照ください。


この記事は、TOCfEを紹介するアドベントカレンダーの12月1日分としても書かれました。
ほかのTOCfEの記事にも興味がある人は、次のWebサイト(アドベントカレンダー)をご参照ください。
TOCfE Advent Calendar 2015

明日(12月2日)のアドベントカレンダー記事は、nodomiさんによる「ツールの相性的なこと」です!
お楽しみに!

※アドベントカレンダーとは別に、本「すくすくヨシダ塾ブログ」もお楽しみください!

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